仏教の特色を持ったベトナム文化
ベトナムに中国とインドから仏教が伝来して以来、国民の伝統と信条と混ざり合い、独特の文化が構築されました。
仏教はベトナムの文化のアイデンティティーを形成しています
仏教は国民の倫理、哲学、文学、建築、彫刻、儀式、絵画などベトナムの文化に重要な貢献をしてきました。
ベトナム仏教僧侶(VBS)傘下のインフォメーション・コミュニケーション・コミッティーによると、ベトナムには15,000以上の仏教関連の施設があるそうです。600近い寺院が史跡、300以上が文化遺産、1,300が史跡と文化遺産、130以上が建築・アートとして承認されています。
ハノイ文化大学(HUC)の文化観光学部長であるDuong Van Sau教授によると、各村やコミュニティーには少なくとも寺院が1つはあるといいます。寺院は、高い山、深い谷、境界線や辺鄙な場所、島、地方の村や都市で見られます。
Huong Tich Caveのワンピラー寺院やフォン寺院、ハノイのNam Thien De Nhat寺院(国で最も神聖な洞窟)、クアンニン省のイエントゥー山脈のドン寺院、ニンビンのバイディン寺院などの多くの寺院は観光地となっていて、国民や地域の建築や精神のシンボルとなっています。
教授はコミュニティにとっての寺院の重要性について強調しました。古い寺院は人々の全てを見てきたのです。地域の文化的な活動は、祭りも含めて寺院の中またはその周辺で行われます。ベトナムには毎年8,000近い伝統的な祭りがあり、その多くが仏教由来のものになっています。
フォン寺院の祭り、イエントゥーの祭り、バイディンの祭りなど、多くの祭りが有名になり何百万もの観光客と仏教徒が参加しています。仏教徒のブラン祭りは仏教徒だけではなく宗教家ではない人々も見守ります。
毎月太陰月の1日から15日にブッダや祖先を信じ崇拝することは、ベトナム人の宗教的かつ文化的特色になったと教授は言います。
仏教はベトナム文化の影響下で局在化されてきました
宗教情勢政府委員会傘下の宗教文化保存センター長であるTran Khanh Du氏は、仏教がベトナムに入ってくる前はベトナムの人々は、国をより良いものにするために主に聖母を崇拝していました。
慎重な選定と容認により、仏教が導入されました。ベトナムの仏教は、中国やインドの一般的な仏教とは少し異なります。彼らは寺院で結婚を祝います。
ベトナムのある地域では、灰や遺体は後の人生の平和を願って寺院へ送られるとDu氏は言います。またベトナムの仏教徒が崇拝するものは、ベトナムの人々の信条や期待に合わせて描かれています。
多くの仏教の神は恐れられるよりも愛されています。文化によって男性としても女性としても描かれているQuan Yinは、聖母崇拝の影響で、ベトナム人には観音として見なされています。
神はベトナムの民話Quan Am Thi Kinh(観音)にも織り交ぜられています。愛と犠牲でベトナムの尼僧であるThi Kinhは悟りの境地に達しました。彼女は高潔、尊厳、自己犠牲の精神でベトナムの女神として崇拝されました。
ブッダ自身は、貧しい人々などに寄り添う優しさで”But”と呼ばれ、ベトナムの民俗文化に入り込んでいます。”But”はフォークソング、チャンツ、おとぎ話にも出てきます。ベトナムの人々は独特のブッダを持っています。陳朝大越の第3代皇帝・陳仁宗は、ベトナム目線の仏教に大きな影響を与えました。
皇帝は15年の在位後、35歳で皇帝の座を譲り、残りの人生をイエントゥー山脈で過ごし、布教活動を行いました。彼はTruc Lam Yen Tuと呼ばれる、伝統的な中国の仏教を最低限移行したベトナムの仏教を確立しました。そして、異なる仏教をTruc Lam Yen Tuに統合するために働きました。
一方、宗教情勢政府委員会傘下のインターナショナル・コーポレーション・デパートメントのDang Tai Tinh前理事は、自分たちのアイデンティティを維持しつつ、海外の文化の影響に対しても前向きであるという寛大さというベトナムの文化を強調しました。
仏教の国から来た多くの海外代表団はベトナムの寺院が仏教の神だけに捧げられてものではないという事実に驚きました。それぞれの寺院に異なる祭壇があり、仏教の神、聖母、国の英雄を崇拝するものがあるのです。
教会と寺院などの異なる宗教の施設が、論争もなく1つの地域に共存しているのです。これはベトナムの仏教のユニークな特徴を反映したもので、ベトナムの宗教に対する自由と調和を表しています。
Tinh氏は、ベトナムの仏教は、祖先の崇拝とベトナム人の経験とうまく融合されていると言います。仏教のブラン祭りは母の日も兼ねていて、子供達は両親(特に母親)に感謝すると同時に、日本のお盆のような側面もあります。またベジタリアン文化と環境に優しい生活に影響を受けたブランベジ祭りも同時に開催されます。
仏教は国民の愛国心を維持しています
VNAのインタビューの中で、VBS総務会の副会長であるThich Thanh Nhieu氏はベトナムにおいて仏教への愛着が定着してきたと言います。植民地時代は宗教の力は弱く、平和と国の成功によって発展してきたようです。国教は李朝(1010-1225)と陳朝(1225-1400)の時代に考えられ、寺院が建てられ改築されるのと同時に多くの王が仏教徒になりました。
さらに彼はベトナムの仏教の愛国心の伝統について強調しました。アメリカとの戦時中、多くの寺院が革命のための基地やシェルターになりました。愛国的な仏教徒は国によって確立され、革命運動にも参加しました。全てのベトナム人と多くの困難を共有し、国の解放のきっかけとなりました。戦争に反対するために焼身自殺したティック・クアン・ドックは1960年代に、南ベトナムの仏教徒の革命を治めたのです。
伝統により、多くの高官、僧侶、尼僧、そして仏教徒が4つの徳のうち上品さを実践しました。多くの高官は国会、ベトナム祖国戦線中央委員会、地方の人民議会、社会政治協会などの政治組織に参加しました。彼らは愛国運動にも参加し、チャリティー活動、貧困の減少、環境保護、気候変動への対応などをしました。
年に1回の追悼会は犠牲になった兵士のための平和を祈るために、コンダオ、フーコック、トロンソン、クアンチ、ディエンビエンなどの国中の多くの共同墓地で開催されます。Thich Thanh Nhieu氏は、VBSは国を解放し守るために亡くなった殉教者に敬意と感謝を表すためのこの行事を鍵となるタスクであると考えていると話しました。
宗教情勢政府委員会の委員長であるBui Huu Duoc氏はVNAの取材の中で、仏教は急速に成長し、仏教徒は約4,000万人になり国民の40%を占めていると言います。
Vietnam Buddhism Shanghaは63の省と市、何百もの地域、コミュニティレベル全てに分会を持っていて、ベトナム人仏教徒協会は世界の11の国にあります。4つの仏教大学、8つのカレッジレベルの訓練プログラム、34の仏教小学校があります。
国は仏教を含む全ての宗教の発展を容易にしてきました。彼らの実践と貢献は評価するに値します。VBSは35周年になる2016年に、ファーストクラスのレイバーオーダー(Labour Order of the Party and State)に認められました。
仏教徒の高官、僧侶、尼僧、そして信者は国と人々に常に寄り添い、ドイモイ政策、建設や保護などに重要な貢献をし、ベトナムのおもてなしの心を世界中に広げています。